まずやっておきたい終活の3つの準備

「終活」という言葉が使われ始めたのは、2009年頃からです。一般的に、この言葉は、高齢者が自身の死後の葬儀やお墓について、生きているうちに準備を始めることを指します。また、最近では、医療・介護や遺言、相続などの準備も、終活に含まれるようになりました。

その中でも、主に以下の3点の準備をする人が多いです。

①エンディングノートの作成

エンディングノートは、これまでの人生を振り返るためや、死後に家族に負担をかけないために書くことが多いです。しかし、規格があるわけではなく、市販のノートに書いても、WordやExcelのようなパソコンソフトを使っても問題ありません。内容は人によって様々で、「プロフィール」「自分史」「家族や友人・知人の連絡先」「財産について」「介護・医療について」などが書かれます。遺言書について書く場合もありますが、エンディングノートは、遺言書と違って法的拘束力を持たないので注意が必要です。遺言書については以下をお読みください。

②遺言書の作成

遺言書とは、収入や借金などの遺産の相続・分配に関する意思表示を書き記した文書です。一般的には、遺言書は、自分で手書きする「自筆証書遺言」、市民の財産権利を守る法律の専門家・公証人が作成・発行・保管する「公正証書遺言」、自分で書いたものを公証役場に持ち込む「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれ、以下のような特徴があります。

自筆証書遺言:代筆・PC不可。手数料が発生しないので費用がかからず、もっとも手軽に作成できる。ただし、厳密な作成要件を守らなければならない。
公正証書遺言:公証人によって作成されるため、要件不備が原因で遺言が無効になる可能性がほぼない。もっとも確実な方法。
秘密証書遺言:第三者に内容を知られることがなく、それでいて遺言が作成者本人によって作成されたことを、公証人によって証明してもらうことができる。

③お墓を決める

一般的に利用されるお墓には、「公営墓地」「民営墓地」「寺院墓地」があります。

公営墓地は、地方公共団体が運営する墓地のことです。その地域の住民でなければ利用できないという制限がありますが、住民であれば宗派を問わず受け入れてもらうことが可能です。また、清掃や管理が必ず行われるという利点があります。

民営墓地は、宗教法人、又は公益法人といった民間事業者が運営する墓地のことです。公営墓地より緩い条件で利用でき、宗派も問われませんが、公営墓地よりも費用がかかります。
寺院墓地も、宗教法人が管理・運営する墓地ですが、利用するためには、寺院にお布施を払い、檀家になる必要があります。宗派が限定されることも多いですが、葬祭や供養を含め、すべてを任せることができます。

このうち、個人の代わりに寺院や霊園が供養・管理してくれるお墓のことを「永代供養墓」と言います。たとえば、新宿にある放生寺が管理している永代供養墓は、東西線早稲田駅から徒歩2分の距離にあるので、家族が参拝に来やすい環境です。近年は、管理面などで残された家族に面倒をかけないようにという理由から、永代供養墓を選ぶ方が増えています。そのため、永代供養墓はアクセスの良い地にあることが多いです。

放生寺の永代供養墓は、座右の銘と俗名を刻んだプレートを、境内に設置することで、自身の言葉を後世に伝え、届けることができる「言の葉の碑(いしぶみ)」と呼ばれる墓標が用意されているのも特徴です。

終活は、残される家族のために行うと同時に、自分自身と向き合うものでもあります。少しずつ進めることで、限られた時間を充実したものにしましょう。